「野球」はどんなスポーツなのか
「野球は確率のスポーツ」
「常に確率の高い選択を続けることが勝利につながる」
私は指導者として上記の事を学んできました。
今でもその教えは正しいと感じています。
ただ、今、私が中学軟式チームを3年間指揮して、大切だと感じている事は
「適正なリスクを背負うこと」
「リスクを背負った分のリターンを得ること」
その2つの視点が重要であると感じています
具体例(場面)を1つ挙げていきましょう
無死1塁(攻撃側)
「送りバント」という作戦を使うことはかなり少なかったはずです(県大会では0)
その理由を挙げていきます
- 「得点の確率」を無死1塁よりも大きく上げる作戦ではないこと ※統計学上
- 「リスク=アウト1つ失う」と「リターン=進塁1つ」が釣り合っていないこと
先日の県大会4試合の中で、私が指示した作戦のほとんど(ほぼ全て)が
この「リスクとリターン」を天秤にかけて、実行すべきと判断したものになります
ちなみに、先程の「無死1塁」という場面において、結果的に一番多く出しているサインは「待て」です。 ※「実行すべきでない」と判断しています
「リスクを背負った作戦」をいくつ思い出しますか?
では、県大会4試合を思い出してみてください。
「リスクを背負った作戦」を思い付いた選手は読むのを一旦やめて、ノートにメモを取りましょう
- 2回戦 終盤(2死1塁)でのギャンブルスタート → 決勝点
- 準決勝 初球スクイズやエンドラン連発 → 押し出し四球で同点
これを思い出す選手は多いかと思います
攻撃の際に監督として、一番考えていることは?
1番確率の高い作戦を「いつ実行するのか」という点について
何を選択するかは、相手と自チームの選手の能力に応じて決まるので、さほど難しくありません。
「いつ」「どの場面(カウント)」で実行するかが一番難しいです。
余談ですが、私はネクストバッターにいる選手と会話をすることを心がけています
次にどんな場面が予想されるか、どの作戦が一番自信があるか
これを選手と会話をして、確認しています
例)得点確率の高い無死,1死3塁での攻防
では無死,1死3塁を題材に「いつ実行するのか」を考えていきましょう
この場面、一番リスクも大きく、リターン(1点を取る確率が高い)のは、エンドラン、スクイズです
この2つの作戦は大きなリスクを2つ抱えています
- 選手が空振り、フライを打ち上げる
- 相手にウエスト(外し)される
この2つについて私が考えていることはこの二つです
◯ 空振り、フライについては、サインを出す時点で腹を括る
つまり、失敗するリスクを考えた上で実行 ※失敗が嫌な場面なら実行しない
◯ ウエストされるリスクを下げることだけに集中する
繰り返しますが、頭の中で迷って作戦を選ぶことはありません。「いつ」だけに集中します。
じゃあ、いつ実行のサインを出すのか
それはシンプルに、相手のバッテリーやベンチが
ボール球を「投げたくない時」
ボール球を「投げたくても投げられない時」
この2つの場面になります。1番分かりやすいのが、「満塁スリーボール」
ボール球の時点で押し出し四球となるため、ウエストされるリスクは皆無
「満塁ツーボール」もほぼ同じです。あえて、自らスリーボールにすることは、よほどコントロールに自信がないとできません
だったら「1球待つ」という選択肢もありますが、追い込まれていたら実行ですね
四死球で満塁にした直後などもリスクが低い場面となります
次の打者も四球にする事を恐れ、初球からウエストする事は確率はかなり低いということです
上記のように、相手の心理やカウントを考えて、実行するタイミングを決めていく
これが作戦を実行する上で、非常に重要な重要な考え方です
「カウント整える間に、追い込まれたらどうするの?」
ここまでの話を聞いて、こんな事を考えた選手はいませんか?
気づいた選手がいたら、良い視点を持ってます
待ってる間に、たった2,3球で簡単に追い込まれたら私はこう思ってます
バッターさん、なんとかしてください(笑)
よく簡単に追い込んだなー(笑)
私はそう割り切ってます。
でも、県大会ではカウントを整えている間に、
エバース(スクイズ偽装もセット)などのフェイントでタネを撒いていたはずです
その結果、向こうは作戦を警戒し、ボール先行
エンドランかけ放題になった場面がまさにその場面ですね
監督のタイプについて
余談ですが、世の中には色んなタイプの監督さんがいます
私は五分五分のギャンブルでサインを出すことはしないタイプです
中には、一か八か初球!みたいな監督さんもいらっしゃいます
それで勝てるなら、何も問題ないですね。私にはちょっと怖くてできません
一か八かもスリルがあって、決まった時にクセになるのかもしれません
※実は私はそういう監督の元で野球をした経験もあります
私は、一か八かよりも「根拠のあるギャンブル」をやれる選手になってほしいと思ってます
どちらにしても最後に必要になるのは「勇気」です
なぜ実行者である選手に、サインを出すタイミングの話をするの?
前回の記事で「山の登り方」について述べましたが、
この「リスク&リターン」を考え行動することが、東日本大会と新人戦の頂点に繋がっている。
そう考えています。というより「うちにしかできない」はずです。
野球チームでは、多くは監督からの指示を受けて、選手が実行するパターンが多いですが、
これってホントに最善ですか?選手が監督よりも最善を導き出せませんか?
監督やコーチに無条件でタイミングや作戦を「任せる」のはもったいないと思いませんか?
野球は「確率」と「リスク&リターン」を考え、実行できる「最考のゲーム」です
うちが頂点を掴むチームになる時は、最善の作戦を実行するタイミングまで決められる時だと思ってます
その上で、監督・コーチはその一歩先を行くアイディアや采配を提案する
東日本大会まではそうやって切磋琢磨していくのが理想です
まだ時間はありますよ。
もうワンランク上のチームになるために、トライしてみませんか?
トップチームは、明日から「自立型野球」にチャレンジします
ここまでの話を自分なり整理してグランドへ来てください
1試合、1打席、1球を無駄にせず、熱い議論とランメニューを楽しみましょう笑
コメント
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